Rev1 6KY
ロシア・ホームステイ手記 |
ラーメン中華 |
−第14回−
問題
A君が見知らぬ夫婦に引き取られ、そこで暮らしていると知り、おばあちゃんはショックを受けていました。 自分に何の断りもなく、そのようなことをしたSおばあちゃんに対しても、かなり不信感を持ち、よく愚痴をこぼしていました。何よりも変わったことは、おばあちゃんが頻繁にウオッカを飲むようになってしまったことでした。酔うとおばあちゃんは人の扱いが荒くなり、ウオッカを強要するので困ったものだと思っていました。 Sさんはまもなくまた入院することになったので、Sさんの酒乱に悩むことは無くなったのですが、今度はおばあちゃんの酒癖の悪さに悩んでしまいました。 A君からは何の連絡もありませんでした。心配したおばあちゃんはSおばあちゃんに電話をして彼の連絡先を聞くのですが、Sおばあちゃんはそのことについては堅く口を閉ざしていました。ウオッカをあおってから電話をすると、決まっておばあちゃんは熱くなり、 「訴えてやるぞ、このマフィアが!」 と言い捨て、受話器を叩きつけてしまうのでした。この状況に、僕は口を挟むこともできず、今後の展開を見守ることしかできませんでした。 しばらくするとA君から電話があり、彼の暮らしぶりが分かってきました。 A君を引き取った夫婦はきちんとした人たちで、うちに比べると裕福で、そこでA君は何不自由ない生活を送っているとのことでした。 そして何よりも、その夫婦がA君を本当の子供のようにかわいがってくれていて、A君自身そこでの生活に満足しているとのことでした。やはり、今回も帰ってくる気はなさそうでした。 とりあえず、無事に暮らしていると知りホッとしましたが、すぐに新たな問題が持ち上がりました。 A君を引き取ったこの夫婦には子供が無く、そのこともあって、彼らはA君をさながら実の息子のようにかわいがっているようでした。A君も甘えられる相手ができ、うれしそうでしたが、この夫婦とA君の間が親密になることは、おばあちゃんにとっては辛いことでした。 そしてその親密さがさらにおばあちゃんを苦しませることになるのでした。 A君を養子に迎えたいとその夫婦が言ってきたのです。 |
つづく。(予定) |
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