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ロシア・ホームステイ手記
ラーメン中華

−第13回−

夫婦

 家を出てから数週間後、両おばあちゃんに説得され、A君はうちに帰ってきました。
嫌そうな、気まずそうな顔をしていたA君でしたが、僕を見るとはにかみながら「やあ」とだけ言って、自分の部屋に行きました。

 さて、一番の問題のSさんですが、A君を特に暖かく迎えるでもなく、だからといって冷たい態度でもなく、ふつうに接していました。
以前の自分の行動を反省したのか、「これからは飲まない」とA君に約束していました。しかしこの言葉、前にも何回か聞いたことがあるので、信用できるものではないのですが。


 おばあちゃん、Sさん、A君、僕の4人の生活がまた始まりました。はじめのうちはSさんも自分の言葉を守り、酒を飲むことはなかったのですが、やはり時間が経つとともに以前のSさんに戻っていきました。隠れてウオッカを飲み、行動が粗暴になることが多くなってきました。それでもA君はなんとか家には居続けました。

 ある日、Sさんとおばあちゃんが2人揃って、酔っ払ってしまうことがありました。醜い罵りあいが始まり、こうなるともう2人が寝るまで収拾がつきません。酔っ払いが大嫌いなA君は我慢できず、また家を飛び出てSおばあちゃんのところへ避難しに行きました。


 A君は数日間、家に帰って来ませんでした。うちのおばあちゃんがSおばあちゃんに電話をすると、A君を知り合いの夫婦に預けたと言うのでした。

 その夫婦とうちのおばあちゃんは面識がなく、そのことでおばあちゃんはとても心配して、A君を連れ戻そうとその夫婦の住所、電話番号を聞くのでしたが、Sおばあちゃんは決して教えないのでした。A君は一体どんな夫婦に預けられたのか、まさかマフィア関係のやつのところに預けられてしまったのではないか。おばあちゃんは心配しています。そして自分を責めています。


 A君を預かることになったこの夫婦、あることを考えているのでした・・・。そしてそれは後におばあちゃんを苦しめるのでした。


つづく。(予定)

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