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妖花な雰囲気漂うロシアの歌姫 |
アーティスト:Линда(リンダ) アルバム:Ворона / カラス |
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リンダ:「カラス」 Линда"Ворона" |
1.Холод(寒さ) 2.Северный ветер(北風) 3.Никогда(決して一度も・・ない) 4.Ворона(カラス) 5.Никому я тебя не отдам(誰にもキミを渡さない) 6.Дикие(ワイルド) 7.Марихуана(マリファナ) 8.Волчица(雌狼) 9.Сидите потише(静かに座って) 10.Круг от руки(手描きの円) 11.Мы(ワタシタチ) 12.От холода до тепла(寒さから暖かさに) |
全12曲 1996年 |
妖花:ようか(気味悪い感じをもつほどきれいな花、またはそのような感じの女性。) |
このレビューは、モスクワ留学はちゃめちゃ通信のYUTAさんが書いてくれました。
中国国境に近いギリシャ人村ケンタウで生まれ育ったカザフスタン出身の女性ボーカリストЛинда(リンダ)はモスクワ音楽専門学校舞台声楽科を卒業した後、94年にアルバム【Песни тибетских лам】「水の中の踊り」をリリースします。このアルバムは日本でも発売され好評を博しました。(曲の一部は日本語で歌われています。) 95年にサンクト・ペテルブルグでの最初のソロライブを行った後、セカンドアルバムである今回御紹介しますアルバム【Ворона】(ヴァローナ)「カラス」が製作、発表されました。 |
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この頃にはリンダの人気は頂点に達し、アルバム「カラス」に納められていた曲は各地でそれぞれ一位を獲得しました。また曲のビデオクリップの内容から彼女は麻薬常習犯なのでは?との噂が流れ、様々な憶測が飛び交う中、彼女の人気は日に日に過熱していきました。ホームページではその噂となった曲、「マリファナ」(本アルバムの7曲目)のビデオクリップがご覧になれます。 | ||
97年には同タイトル【ヴァローナ・ツアー】を開始しました。ですがこの頃ちまたでは、リンダは薬物乱用で死んだのだとの噂が流れました。しかしそれから約一ヵ月半後、リンダはウクライナのキエフでライブを行い、ファンを驚かせました。常に噂が絶えることのないリンダはロシアのみならず欧州、日本でも多くのファンがいます。彼女は歌やビデオクリップ以外にもヴィジュアル面においても大変話題性に富んでおり、まさに妖花(ようか)な雰囲気漂うアーティストだと言えます。 |
そんな彼女のセカンドアルバム【Ворона】(ヴァローナ)「カラス」は自身の各アルバムの中でも傑作中の傑作です!
アルバムの冒頭から彼女の世界観を感じることができ、4曲目のアルバムタイトルでもありますВорона(カラス)では独特のロックサウンドと民族音楽が調和しており、かなり聴き応えのある名曲です。彼女の曲の多くには民族音楽が取り入れられており、ライブでもアジア的な民族衣装に身を包んだバックミュージシャン達を従え歌っています。
6曲目のДикие(ワイルド)では曲の冒頭から民族楽器が使用されていてバックコーラスもいい味を出しており、この曲は人間の感情の強さ弱さを表現していうように感じました。僕はアルバムの中ではこの曲が一番好きです!!
11曲目のМы(ワタシタチ)は美しいピアノの旋律にのせて歌われており、幻想的な感じを受けました。
アルバムを何回も聞き込んでいると民族音楽と入念にサンプリングされた打ち込みの音楽の曲がほとんどで、曲調からもまさにロシアのエニグマだと言えます。
類まれな実力とヴィジュアルを兼ね備えた妖花(ようか)な雰囲気漂うアーティストЛинда(リンダ)は今後日本でも受け入れられること確実です!!
このレビューは、モスクワ留学はちゃめちゃ通信のYUTAさんが書いてくれました。
今のロシア音楽界のNo1ヒップホップグループといえばДИСКОТЕКА АВАРИЯ(ディスコチェッカ・アバーリヤ)でしょう!“ディスコクラブの故障”となんとも変わったグループ名の彼らは今までのロシア音楽界にはなかった本格的なヒップホップグループとして若者を中心に絶大な人気をあつめています。 | |||
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写真右からグループのフロントマンである角度によってはお笑いのふかわりょうに似ているニコライ、その横はメガネのアレクセイ、そしてその横も同じ名前のアレクセイ、一番左の太った人がアレク。彼ら4人が軽快なロシア語ラップと怪しい(笑)ダンス、そしておバカなプロモーションビデオでロシアのティーンたちの心を掴んではなしません。 ですが、残念なことにアレク(写真一番左)が不慮の事故でこの世を去ってしまいます。 |
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メンバーの音楽部分の核であったアレクの死はグループに大打撃を与えます。ですが彼の死の辛さを乗り越え3人になった現在もДИСКОТЕКА АВАРИЯ(ディスコチェッカ・アバーリヤ)の活動は続いています。 | |||
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今回御紹介します“МАНЬЯКИ”「マニアックな奴等」はアレクが生きていた頃のアルバムであり、 思わず踊りだしたくなる名曲ばかりが詰まった一枚です! |
1曲目の“Х.Х.Х.И.Р.Н.Р.”からこのグループの良さが出ていて、軽快なロシア語ラップに乗って聴いていて思わず踊りだしたくなります。この曲のプロモーションがまたおバカな映像で、あまりの下品さにロシアのPTAから苦情がきたとのこと。僕もこのビデオを見ましたが最後の★★★はまさに大ウケでした!!
3曲目の“Небо(空)はグループのフロントマン、ニコライが前面にフューチャ−されており“ヒップホップ”というよりかはポップ色の強い曲になっていると思います。2003年にはこの曲が編曲を加えてシングルとして発売されます。ちょうどこの時に僕はロシアに留学していたのですが、ラジオでもTVでも気が狂ったかのようにこの曲とプロモーションビデオが流れていました。(中世のヨーロッパを題材にしたPVが凝っていてまたおもしろい!!)
8曲目の“Заколебал Ты”(動き出したキミ)や9曲目の“Disco Superstar”(ディスコスーパースター)ではまさにNo1ヒップホップグループДИСКОТЕКА АВАРИЯ(ディスコチェッカ・アバーリヤ)ならではのノリノリのナンバーで聴かせてくれます。ロシア語でのラップが聴いていてこんなにも楽しいものだとは!と初めて聴く人はきっと驚きますよ!!
他にもロシアのディスコクラブには不可欠!?な曲がいくつも収録されています。
本格的なラップテクニックにおバカな一面も持つ彼らのアルバムは部屋で一人なんかで聴かずにみんなで聴いて盛り上がりましょう!!
公式サイト http://www.avariya.ru/ | |
壁紙のサイトです。 http://www.avariya.ru/index.php?owner=hhhirnr&chapter=wallpapers |
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曲紹介とMP3のサイトです。歌詞も載ってます。 http://www.avariya.ru/index.php?owner=hhhirnr&chapter=songs&show=albums |
アーティスト: Аквариум アクワリウム アルバム名: 《Сестра Хаос》「シスター・カオス」 |
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(2002年)
アクワリウムのHP | |
◆オフィシャルサイト:Aquarium's Very Own Home
Page トップページから英語サイトへもリンクしています。 歌詞あり。 |
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◇セミオフィシャルサイト:Planet Aquarium |
アーティスト:АРИЯ アーリア アルバム:「キマイラ」 Химера |
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アーリア:「キマイラ」 АРИЯ"Химера" |
1.Химера「ヒメーラ」(キマイラ) 2.Небо тебя найдет「ニェバ・ティビャ・ナイジョート」(空はお前を見つける) 3.Я не сошел с ума「ヤ・ニェ・サショール・スウマー」(俺は狂ってはいない) 4.Вампир「ヴァンピール」(吸血鬼) 5.Горящая стрела「ガリャーシャヤ・ストレラ」(炎の矢) 6.Штиль「シチーリ」(凪・なぎ) 7.Путь в никуда「プーチ・ヴ・ニクダー」(どこへもいかない道) 8.Ворон「ヴァローン」(カラス座) 9.Осколок льда「オスコロク・リダー」(氷の破片) 10.Тебе дадут знак「ティベ・ダドゥート・ズナーク」(お前に証しを与える) |
全10曲 2002年 |
このレビューは、モスクワ留学はちゃめちゃ通信のYUTAさんが書いてくれました。
“ロシアンメタル”と聞いてみなさんはどのような想像を抱きますか?最近、“TATY”や“バイアグラ”のようなロシアンポップスが日本では大変注目を集めていますが、ロシア音楽はこれらポップ音楽だけではありません!ロシアには“ロシアンメタル”と呼ばれるメタル音楽がジャンルとして昔から定着しており、幅広い年齢層に支持されています。
このジャンルで最も高い人気を誇るメタルバンドは、今回御紹介します「アーリヤ」で、彼らのアルバム“Химера”(ヒメーラ)です。
ソ連邦時代の1985年にモスクワで結成された「アーリヤ」は、当時の国家体制からメタル音楽を演奏することで多々迫害を受けながらも精力的に活動を続け、ソ連邦崩壊後も未だ人気の衰える事のない大御所メタルバンドです。
2002年には大幅なメンバーチェンジが行われ、同年脱退した他のメンバーたちが中心となり、新しくКИПЕЛОВ(キペロフ)と言うバンドが結成されました。「キペロフ」のバンド名は「アーリヤ」を脱退した元ボーカリストの“ヴァレリー・キペロフ”から来ています。今ではこの2バンドがロシアでのメタル人気を二分しています。
アルバム“Химера”(ヒメーラ)では長い間ロシアンメタルの頂点に君臨し続ける彼らの成熟したメタルサウンドを聞くことが出来ます。
僕のオススメの曲はアルバムタイトルにもなっています1曲目の“Химера”(キマイラ)で、前奏はメロディアスなギターサウンドから始まり、ボーカルの“ヴァレリー・キペロフ”の高音シャウトは鳥肌ものです。間奏のツインギターでの早弾きでは途中ユニゾンする箇所があり、あまりのテクニックの上手さにさすが「アーリア」と感心させられます。何回か聴いているうちに思わず「ヒメ―ラー!!!」とサビの部分を口ずさんでしまいますよ(笑)。
9曲目の“Осколок льда”(氷の破片)ではアコースティックギターでのアルペジオから始まり、メタルバラードとしてかなりの出来に仕上がっていると思います。
アーティスト:АРИЯ アーリア アルバム:「凪(なぎ)」 Штиль |
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アーリヤ:「凪・なぎ」 АРИЯ"Штиль" |
1.1.Штиль「シチーリ」(凪・なぎ) 2.Пробил час「プロービル・チャース」(時を打つ) 3.Небо тебя найдет「ニェバ・ティビャ・ナイジョート」(空はお前を見つける) 4.Ангельская пыль「アンゲリスカヤ・プィリ」(埃まみれの天使) 5.Свобода「スヴァボーダ」(自由) 6.Герой асфальта「ゲロイ・アスファリタ」(アスファルトの上の英雄) 7.Потерянный рай「パテーリャンヌィ・ライ」(失われた楽園) 8.You’d better believe me”(俺を信じるがいい) 9.Беспечный ангел「ベスペーチヌィ・アンゲル」(無邪気な天使) 10.Машина смерти「マシーナ・スメルチ」(死の機械) 11.Дай руку мне「ダイ・ルク・ムニェ」(手を貸してくれ):ボーナストラック |
全11曲 2002年 |
このレビューは、モスクワ留学はちゃめちゃ通信のYUTAさんが書いてくれました。
次に御紹介するのは今までの「アーリヤ」の全盛期を築いた5人のメンバーによる最後のアルバムです。このアルバムを最後に前文でも述べましたように、ヴォーカルのヴァレリー・キペロフを含めた主要メンバー3人がこのバンドを脱退し、КИПЕЛОВ(キペロフ)と言う新しいバンドを結成します。主要メンバー脱退後の「アーリヤ」も新メンバーとしてアルトゥル・ベルクト(ヴォーカル),セルゲイ・ポポフ(ギター),マクシム・ウダロフ(ドラム)の3人が新たに加わります。ですが、マクシム・ウダロフ(ドラム)は初期の頃の「アーリヤ」で一時期ドラムを担当していました。
バンドの危機とも言える大幅なメンバーチェンジにも関わらず「アーリヤ」の人気は以前同様、全く衰えていません。
このアルバムは前作“Химера”(ヒメーラ)の流れを受けており、“Штиль”(凪・なぎ)と“Небо
тебя найдет”(空はお前を見つける)の2曲が前作同様、収録されています。他の収録曲の多くも過去からの曲が中心となっており、このアルバムはベスト版的な意味合いも込められたCDだと言えます。
曲の最後にはボーナストラックも収録されており、現在では聞けない当時のメンバーでの演奏を聞くことが出来るのは価値アリ!!
1曲目の“Штиль” (凪・なぎ)は前作にも収録されていますが曲の内容が多少異なり、僕のイメージ的にはアルバムジャケットに描かれていますキマイラ(神話上の怪獣)とのデュエットかな?と聞いていて感じました。また歌詞カードの中にはメンバーとキマイラが肩組んで仲良く写っていますよ。
2曲目の“Пробил час”(時を打つ)は、メタルというよりも前奏から80年代アメリカンロック調のノリで聞かせてくれ、曲の中でバイクのハーレーダヴィットソンのエンジン音も聞こえてきます。ハーレーのエンジン音とメタルが妙にマッチしていて渋いです!!
8曲目の“You’d better believe me”(俺を信じるがいい)ではタイトル同様、歌詞がすべて英語で作られており、世界を視野に入れた「アーリヤ」の思惑が感じとられます。全体的にスピード感のあるこの曲はまさにロシアンメタル界を疾走し続ける「アーリヤ」をイメージしているようでした。
10曲目の“Машина смерти”(死の機械)はこのアルバムを最後に脱退したメンバーの1人、セルゲイ・チェレンチェフ(ギター)によって作られた曲で、昔の曲で構成されているこのアルバムの中では数少ない貴重な新曲です。前奏のリフが聞いていて心地良いです。
ベスト版的な意味合いを込められたアルバムだけあり、全体的に仕上りが大変良く、どの曲も聞きやすいと思います。
公式HPはこちら(http://www.aria.ru/) 英語サイトでもご覧になれます。
↑公式サイトのhttp://www.aria.ru/eng/ie/page.php?id=45ページから音楽MP3だけでなくPVやスクリーンセーバーももダウンロードできます。
アーティスト:СМЫСЛОВЫЕ ГАЛЛЮЦИНАЦИИ スムィスラヴィエ・ガリュツィナーツィ(「意味の幻覚」略してS.G) アルバム: 「地球の反対側」 ОБРАТНАЯ СТОРОНА ЗЕМЛИ オブラートナヤ・ストラナ・ズェムリ |
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スムィミスラヴィエ・ガリュツィナーツィ (「意味の幻覚」略してS.G) アルバム「地球の反対側」 |
1. Пока это кажется важным(ここが大切と思えるときには) 2. Утром(朝に) 3. Чужое небо(未知の空) 4. Напролом(遮二無二) 5. Первый день осень(秋の初日) 6. В никуда(どこでもないところへ) 7. Море(海) 8. Звездопад(流れ星) 9. Ты можешь не думать об этом(もう考えなくていいんだよ) 10. Больно(痛い) 11.ビデオクリップ/Пока это кажется важным(ここが大切と思えるときには) |
2003年 |
【幻覚】(hallucination):実際には感覚刺激や対象がないのに、それが実在しているように感覚的 に認知したり、認知したと感じる感覚。幻影の知覚。広義には錯覚を含む。幻感。「幻覚に悩まされ る」(小学館国語大辞典) |
スタイリッシュでハードなロック
エッジの効いた音のインパクトは、フラッシュするライトのよう!
どこか原始的でシャープなシンセ音、重くうねるギターとベース、さりげなく半拍子ずれてみせるテクニカルでもリズミカルなドラムの組み合わせが絶妙。そしてなんといってもリフがかっこいい!
低く語りかけるようなボーカルはロシア的迫力をもって胸をえぐります!
それでいてどことなくロマンチックなメロディー展開。
その音楽的厚みと独自世界に圧倒されつつも、どことなくなつかしく快い音。しばらくしてまたむしょうに聞きたくなります。「幻覚」中毒? はまると病みつきになりますよ〜。
でもその音は、決してべたべたしない。どこまでもクール。
どことなく、キングクリムゾンを思わせるプログレッシブな展開も隠されています。
でも基本はあくまでもストレートなロック。そして電子音との微妙な組み合わせ感。
それらの音の集積とパワーが心に刺激を与え、独自の心象風景を生み出します。
「意味の幻覚」というバンド名は、あたかも彼らの音楽がつくりだす不思議な空間のエネルギーそのものを言い当ているようです。
そこにあるのは現実そのものを叩きつけるような乾いた空間。甘い言葉はない。同情しない。でも妙に励まされる音楽空間。
壁にぶちあたって、落ち込んでいるとき、絶望のなかで光を見失ってしまっていたとき、この音楽は効きます。
今ロシアでロックファンに最も高く評価され、スマッシュヒットしているスムィスラヴィエ・ガリュツィナーツィ。
現代的スタイルの新ロック。でも、その底にかいま見られるのは、確かなロシアンロックの伝統的底力。そこからキノー(КИНО)にもつながる地平線が見て取れます。ハードロックファン、今のロシアンロックのトレンドを知りたい人も、「意味の幻覚」をぜひ一度聞いてみてください。
CD内包の青白い色をベースにしたビデオクリップ「ここが大切と思えるときには」。クールでめちゃかっこいいです。2003年11月現在「MTVロシア」でローテーションしまくっているクリップで大ヒット中。おすすめ!(gonza)
CDに収録されているビデオクリップ Пока это кажется важным 「ここが大切と思えるときには」より |
音楽CDにボーナス!ビデオクリップつき --------------------------------------------------------------------- このアルバムには、ビデオクリップ「Пока это кажется важным(ここが大切と思えるときには)」が収録されています。 |
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グループ「スムィスラヴィエ・ガリュツィナーツィ」(S.G)について |
「スムィスラヴィエ・ガリュツィナーツィ」(以下S.G)は古さとと新しさを兼ねそろえた経験豊かなロックバンドですが、一般に広く知られるようになったのは90年代半ばになってからです。 ギターとシンセの絶妙なバランスが、S.Gの音楽の魅力。S.Gはロシアはウラルの都市「スベルドロフスク」出身。キーボードを全面に押し出すスベルドロフスク・ロックの伝統的特徴は、S.Gサウンドにも受け継がれています。 S.Gが結成されたのは、1989年8月21日。1990年にはスベルドロフスのロッククラブに出演するようになります。 しかし、ペレストロイカ後の混乱がバンドに暗い影を落とします。 ソ連崩壊の混乱、大衆のロック音楽への関心の低下、コンサート会場の不足、過激さを全面に押し出すポップスの台頭などなど・・・。S.Gは存続の苦境に陥ります。 コンサートに人は入らず、「S.Gはもう終わっている」という噂が流れるようになります。 しかし、S.Gのクリエイティブな可能性と、「ここで終わってたまるか」という生命力が、ここでバンドの息の根を止めさせませんでした。 1995年、長い中断のあと、基本メンバーが集まり、バンド名も新たに、「Что-то против тебя(Something Against You)」という名前で、ゼロからやり直すことに。新しいバンド名で2つのコンサートをこなした後、3度目のコンサートでは、歓喜のファンたちを前に、新生「スムィスラヴィエ・ガリュツィナーツィ」が復活します。 1996年、ウラル地方の若いミュージシャンたちが、エカテリンブルクにクラブ「J22」を創設。そこがS.Gやウラル地方の多くのバンドの活動拠点に。 同1996年から、S.Gはツアー活動を精力的に行います。アフガニスタン戦争のベテラン戦士たちと一緒に、22日間、ロシア・ヨーロッパ地域の都市を回るコンサートツアー「ワールド・マーチ」を敢行。 1998年の末には、ほぼ現在のグループメンバーが固まります。 1999年の夏、≪Розовые очки≫(ピンクの眼鏡)という曲が、ラジオでかけられたのをきっかけに、チャート急上昇。 この「ピンクの眼鏡」と「Вечно молодой(永遠に若い)」は、ロシアのブロックバスター映画「ブラザー」のサウンドトラックに納められ、S.G.は一挙にスターダムにのし上がります。 ロシアでは最も有名なロック・ポップスフェスティバルに2001年、2002年と連続出場。2000年以降、3枚のアルバムをリリース。 「イヤー・カバー」コンテストで、「ゴールド・ハリケーン賞」を受賞。 「ゴールド・グラモフォン」コンテストでは、年間の最もすぐれたロックグループに与えられる 「ovation(大喝采)賞」を受賞。 2003年3月25日、グループの3枚目の傑作アルバム「地球の反対側(Обратная сторона Земли)」がリリースされます。 同アルバム収録の「ここが大切と思うとき(Пока это кажется важным)」および、「秋の初日(Первый день осень)」がテレビ・ラジオで繰り返しオンエア。 2003年11月、ロシアで大ヒットしました。 --------------------------------------------------------------------- 参考:「スムィスラヴィエ・ガリュツィナーツィ」公式サイト |
アーティスト:Ногу свело! ノーグ・スヴィロー!(足がつった!) アルバム:В темноте「フ・ティムナチェ」(暗やみで) |
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В ТЕМНОТЕ 「フ・ティムナチェ(暗やみで)」 |
1. В ТЕМНОТЕ(暗やみで) 2. ИЗ АЛМА-АТЫ(アルマ・アタより) 3. КОЛЫБЕЛМНАЯ ПЕСНЯ(子守歌) 4. БЕНЗИН(ガソリン) 5. У БЕРЕГА РЕКИ(川岸に) 6. НА ЗАРЕ ТЫ ЕЁ НЕ БУДИ...(暁に彼女を起こさないで) 7. НАШИ ЮНЫЕ СМЕШНЫЕ ГОЛОСА(僕たちの若き可笑しげな声) 8. СВИНКА-СВИНКА(ぶたさん、ぶたさん) 9. ЯЗЫК ОГНЯ (めらめら燃える炎) 10. УНИКАЛЬНЫЙ АППАРАТ (ユニークな装置) 11. ВОСПОМИНАНИЕ ИЗ ДЕТСТВА (子供の頃の思い出) 12. УТРО (朝) 13. ПЕТРУШКА (ペトルーシカ) 14. ВСТАВЛЕННЫЙ МОТОЦИКЛИСТ(はめられたバイク乗り) 15. ЯЗЫК ОГНЯ (Erotique Mix)(めらめら燃える炎) |
Audio CD, 2002年秋 |
「ぼくは誰にも気がねせず誇りをもって高らかに歌うよ。ほんとうは苦しくて貧しくて泣きそうでも・・・。」
そう語りかけてくるようなノーグ・スヴィロー!の最新アルバム(2003年11月現在)「フ・ティムナチェ(暗やみで)」は私のお気に入りの傑作アルバムのうちの一枚です。
心が温まる歌。悲しみをいやしてくれる歌。励まされ、力がわいてくる歌。
このアルバムの魅力はなんといっても不思議な力をもったマクシム・ポクロフスキーのボーカルにあります。
一度聞くときっと耳から離れないでしょう。その声はやさしくやさしく心に語りかけてきます。
高度な実力に支えられたバンドが、ボーカルの輝きを力強く支えます。親しみがもてる昔ながらの素朴なロシアの大衆バンドという雰囲気のノーグ・スヴィトローですが、そのサウンドは、初期のQueenを思い起こさせる演劇的な展開に、テクノ的シンセ音、アジア的な旋律、ロマンチックなハードロックギター、変拍子ドラム、ブラスの導入など、多種多様な試みがなされ、どの曲も強力かつ個性的で、マンネリや古さを微塵も感じさせません。
各曲がバランス良く配置された「フ・ティムナチェ(暗やみで)」はノーグ・スヴィロー!の音楽的厚みと広がりを実感できる完成度の高いアルバムに仕上がっています。
寒い寒いロシアの冬。凍えきった道。ほの暗いランプの明かりの下に、まばらな人だかり。白い息を吐きながら一生懸命演奏する街頭ミュージシャンたち。暖かさが伝わってきて涙こぼれそうになる・・・。
・・・そんな情景が浮かんできます。
なんかいい。なつかしく、また聞きたいと思わせる自分だけのとっておきのナンバー。素朴で人間の体温が伝わってくるような歌は、ロシアならではの音。
イメージは過激でかっこうはいいけど、実は判を押したようなポップスやヒップホップが多い今の音楽シーンになにか物足りなさを感じているあなた。あなたがロシアから求めていたのはこれではないですか?
ぜひ一度聴いてみてください。ノーグ・スヴィロー!の凄みと優しさが、ハートにビビッと伝わってくることでしょう。(gonza)
CDに収録されているビデオクリップ 「Наши юные смешные голоса (僕たちの若き可笑しげな声)」より |
音楽CDにボーナス!ビデオクリップつき --------------------------------------------------------------------- このアルバムには、ビデオクリップ「Наши юные смешные голоса(僕たちの若き可笑しげな声)」入りです。ボーカルのマクシム・ポクロフスキーが、生きたままどんどん土の中に埋められてしまうという印象的なビデオクリップは、一度見たら忘れられません。現実感覚とシュールさが同居した不思議な映像は、ロシアで評判となり、MTVなどで繰り返し放映されました。とてもいい曲。 ビデオクリップともにイチオシです。2003年夏、ロシアで大ヒットしました。 |
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「ノーグ・スヴィロー!」 グループの軌跡 |
はじめてマクシム・ポコロフスキーとアントン・ヤコムシスキーが出会い、ロックグループが誕生したのは1988年だとされる。 1989年の初め、グループ名を「ノーグ・スヴィロー!」(足がつった!)と命名。「モスクワ・ロックラボラトリー」の参加メンバーとして迎えられる。はじめてのコンサートは、道路機械倉庫の文化啓蒙施設で行われる。 1990年の夏、ファーストアルバム「1:0 в пользу девочек(1:0で女の子リード)」を発表。 1991年、ギタリストとしてイーゴリ・ラプーピン加入。アルバム「Капризы манекенщиц(ファッションモデルたちのわがまま)」をリリース。 1992年夏、22曲入り3枚目のアルバム「Хару Мамбуру(ハル・マンブル)」発表。タイトル曲「Хару Мамбуру(ハル・マンブル)」のビデオクリップが、MTVの審査員特別賞を受賞。 続いて「Весточка(便り)」のビデオクリップでも成功を収め、フェスティバル「ジェネレーション93(Поколение 93)」と「ジェネレーション94(Поколение 94)で、2年連続、グランプリを受賞。 ヨーロッパビジョンにヒット曲「シベリアの愛(Сибирская любовь)」をもって出場。世界中に放映される。 1995年11月にコンサートホール「ロシア」で、次のアルバム「Сибирская любовь(シベリアの愛)」のプレゼンテーション・コンサート。 この頃、グループにキーボード奏者のビクトル・メドヴェージェフが参加。 1996年、「ベスト・オールタナティブ・グループ」にノミネートされ「スター賞(Звезда)」を、「大喝采(Овация)」では「イヤー・ディスカバリー」賞を受賞。新聞モスコフスキー・コムサモーレツ紙の、読者の人気投票でNo1グループに選ばれる。 1997年の秋には「Счастлива, потому что беременна.Синий альбом(妊娠して幸せ。青のアルバム)」をリリース。ジェネレーションフェスティバルで「最もスキャンダルなビデオクリップ」賞を受賞。 このアルバムは2部作で、1998年には、2枚目「Счастлива, потому что беременна.Синий альбом(妊娠して幸せ。緑のアルバム)をリリース。 1999年、バンド結成後10周年を迎える。 2000年9月にアルバム「Бокс(ボクシング)」をリリース。このアルバムはサウンドプロデューサーとしてブリギット・アンゲルハウゼンを迎え、デュッセルドルフのスタジオとのコラボレーションで録音。 2000年12月には、簡潔な名前の曲「Х..й」を発表。これはロシア語の隠語を含む、バンド設立以来最も挑発的でスキャンダラスな曲。「Х..й」の完全バージョンには、51個の最も人気の(?)隠語が出てくるとのこと。 2001年の5月には、新曲「В темнотеフ・ティムナチェ(暗やみで)」がモスクワのラジオでオンエアー。多くのヒットチャートにランクイン。 2002年秋には、同曲を含むアルバム「В темнотеフ・ティムナチェ(暗やみで)」を発表。 2003年、同アルバム収録の「Наши юные смешные голоса僕たちの若き可笑しげな声」と「ИЗ АЛМА-АТЫ(アルマ・アタより)」がロシアでヒット中。 |
アーティスト:KASTA(カースタ) アルバム:「ギリシャでどうすりゃいいんだ」Что нам делать в Груции シト・ナム・ヂアラチ・ヴ・グレーツィ |
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Что нам делать в Груции シト・ナム・ヂアラチ・ヴ・グレーツィ (ギリシャでどうすりゃいいんだ) |
1. シト・ナム・ヂアラチ・ヴ・グレーツィ(ギリシャでどうすりゃいいんだ) 2. プリャースキ (踊り) 3. ティ・ダウジュナー・アスターツァ (きみは残らないと) 4. レーヴナスチ (嫉妬) 5. チースタ・ヴ・スチーレ・ナーシェイ... (純粋に僕たちのスタイルで) 6. ユーゴ・ヴァストーチナヤ・エヴローパ (南東ヨーロッパ) 7. ドゥブリカータル (コピーマシーン) 8. V.K.プィージカヴァ (V.K.プィージコヴァ) 9. イスクーストヴィンヌィ・チラヴィェク (人造人間) 10.ガリャーチェ・ヴリーミャ (熱い時) 11.カク・サズダヴァールシャ・スチーリ (スタイルはいかにつくられたか) 12.ナーシ・リュージ 2 (同朋2) 13.25 ユーリャ (7月25日) 14.スローヴァ・ザ・スローヴァ(フストプレーニェ) (言葉に言葉で(序曲)) 15.スローヴァ・ザ・スローヴァ (言葉に言葉で) 16.インテリァスナェ・ミアスタ (面白い場所) 17.ドゥーフ・プロデューセラ :) (プロデューサー魂) 18.ブラガダールナスチ (感謝) |
2002年 RESPECT PRODUCTION |
ロシアで今、一番ホットでクールなサウンドがKASTA。
ロシア製ラップ。
KASTAは、ロシアのヒップホップシーンでティーンや音楽ファンに高く評価されているグループであり、ヒットチャートで常に高位置をキープ。ロシアで今、大ヒットしています。
アルバムを聴くとその理由はすぐに納得できるはず。
そのサウンドはシャープでとにかく高品質。KASTAのアーチストとしての並々ならぬ才能と実力を思い知らされます。
エモーショナルな曲想とドラマチックな展開、追憶を誘うかのような美しい旋律、吸いこまれるかのような心地よい言葉の洪水…。
それはロシア語ラップならではの不思議な迫力。
ラップにロシア語をむりやりあてはめたような違和感はみじんも感じさせません。
曲調がEMINENを思わせるところもありますが、ロシア語の持つ底力に支えられたすごみのあるKASTAサウンドは、KASTAならではの独自の世界を彫り上げています。
しっかりと心に迫ってくる魅力的な音。
それはロシア語の持つ奥深い可能性を追求するかのようです。
「シト・ナム・ヂアラチ・ブ・グレーツィ」は、すごいアルバムです。僕は一度聴いただけで、KASTAの音の厚みと深みに心奪われてしまいました。
ヒップホップに興味ある人、今のロシアの最先端の音に触れたい人はもちろん、親しみやすく覚えやすいKASTAのサウンドは、ポップスファンに広くおすすめできます。
CDのジャケットには、「注意!非標準(ロシア語)語彙」との注意書き(?)が書いてあるのですが、その切れのいいロシア語の発音は思いのほか聞きやすく、あまり意味は考えないで、耳からロシア語の音になじむには、とても良いCDではないでしょうか?
別の切り口から、ロシア語を攻めてみたいという学習者の方にもぜひ!
2003年11月、「Ревностьレーヴナスチ(嫉妬)」がロシアで大ヒット(MTVロシアベスト10で5位をマーク)(gonza)
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