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ロシアの会社あれこれ・・・

投稿:ぴえるばやさん


もしロシアの会社で働くことになったら…?
外国人の雇用/賃金体系、勤務内容や社風など、わからないことだらけのロシアの会社あれこれについて、
ビジネスの経験豊富なぴえるばやさんが解説してくれます。


ロシア語を学んでいる方でも「ロシアの会社で働く」という抵抗感があるかもしれませんが、主要先進国外国籍の方がロシアの会社で働いている実情を少し書いて見ようと思います。ロシア企業(法人)といってもいくつかの経営体系があり、●100%ロシア地元資本・設立●出資率変動の外国・ロシア資本設立●合弁会社/合資会社●100%外国資本・設立等様々です。

 まれにウクライナ・ベラルーシ進出に対してロシアの経験から尺度を用いて評価を下す内容を目にしますが、ロシアの場合とウクライナの場合など他のCIS/独立国家共同体加盟国の経済システムや地域色、地方政府、その設立経緯・計画等によってどのような雇用体系がとられているかはその企業体の雇用方式・条件によって当然異なりますので、就職活動をする場合において留意し確かめておいた方が良い事があります。
 
1.雇用契約書の存在有無
 トラブルケースとして雇用契約書の存在が無く、話を聞いてみてよさそうだから・・・という理由で口頭約束をし雇用関係を結んだ時には労使相互の「思い込み」という部分で後々問題が起きる事があります。

2.賃金体系保証
 月額基本賃金をルーブル建てでいくらと金額が決まっていない。又は賃金支給方法が複数の通貨、外貨支給とルーブル支給の割合。為替相場の反映による差。ちなみにロシアの法律では「ロシア法人で現地雇用就労しているロシア国民・外国民」の就労者への賃金はルーブルで支払わなければならない事になっていますので、銀行機関を通じてルーブル支給をしてから為替レートによる変動リスクをまれに雇用主がカバーして「ルーブルから外貨」への交換という形で混在支給している所もあります。

 現地法人等へA国の会社に在籍しつつ「出向派遣社員」という形態をとっている等で外貨建で賃金を受け取っている方もいらっしゃいますが、親会社(A国)から子会社(ロシア)との契約を結ぶ必要性があり、現地採用の外国人、例えばA国系資本子会社に現地採用されたA国人がいる場合は、親会社に在籍している場合を除いて通常はロシアの法律にのっとりルーブル払いとなります。
 
 よくこの辺で誤解されている方がいらっしゃいますが、現地採用による場合多くは「A国の会社」に勤めているのではなく「ロシアの会社」に勤めている以上、各種母国人としての待遇などの差が無い限り、同僚・上司・部下でも一般ロシア(籍)従業員と同じ扱いになります。
 A国人が経営しているあるいは、A国企業の子会社・系列だという理由でA国から派遣されている人材と同じ職種内容であっても雇用体系・賃金体系にはなりませんし、雇用に纏わる法律の適用もロシアの法律にのっとって適用されますのでこの点は十分注意し確認する必要性があります。当然賞与・昇給などの有無も必要ですがロシアでは日本と違い給与見直しがあっても賞与(ボーナス)支給制度が殆どありません。

3.勤務内容
 勤務内容でまず大きな問題になる事はさほど無いと思いますが、専門職採用として雇用された場合本来の契約外の仕事をさせられた場合、したくない場合等の条件を明確に雇用契約上交わされていない又は従事しても良いという事であればその対価を賃金として得られるかどうか。例として技術指導として専門職雇用されたのに、毎日トイレ掃除などの雑用をさせられた等・・・

4.紛争処理
 残念ながらロシアには法律があっても労使間の紛争処理をする機関がありません。進出企業間紛争に対してのコンサルティング部門を持つ機関、例えば、ABC/AmericanBusinessCenterやEUが設置するEUC/EuropeanUnionBusinessCenterといった機関ではアドバイザーがおり加盟企業の支援をしていますが、日本センターでは分野外としているのか日本に興味を示すロシア現地企業情報の提供はなされていますが紛争処理に纏わるアドバイスをする専門員やロシア法律の専門家を常駐させる等は行っていません。日系の一部は欧米進出している現地法人子会社をABC/EUCに加盟させて活用しているケースがあり、雇用形態についてその従業員が相談に訪れる事もあります。


ロシアの社風

 社風はそれぞれ個々に違いますが、あきらかに違う点は上下関係が日本より明確になっている割りにその反面友好的な関係を保ってる事ではないかと思います。上下関係・指揮命令系統というと重圧に感ずるかもしれませんが、「私の仕事」「あなたの仕事」という境目が実はありまして、日本の様に「これやっといてくれぇー」と全く何も判らない仕事を与えられて人に押し付けておいて「まだできないのかーバカモノ何やってるんだ!!」と言われる事はまずありません。

 特にディスカッションやプレゼンテーションの上で上司・部下が対等に意見や議論が交わされる事で2枚舌・・・部下の色目使いというのが日本程「現場」において少ないと感じています。もちろん最近は欧米スタイルの会社組織も増えてきましたので「結果最重要視」という部分のみで評価される場合もありますが、どの企業においても会社を拡大させるだけではなく人材育成にも力を注いでいます。

 相変わらず・・・という点も確かにあるのですが、物を口にいれたまま接客したり、煙草を吸いながら電話したり、無愛想に投げやりに言ってみたり、時間を守らなかったり、来なかったり、出勤したら誰もいなかったり、、、、ロシア流というとロシア流なのかもしれませんが若い世代が営む企業、特に外国と関連がある企業の場合ビジネスマナーが厳格に守られている所もありますのでかえって飲食関連産業では「ロシアなのに・・・厳しすぎる」という印象を持って耐えられなくなる方もいらっしゃています。


たまに副業なのか本職なのか判らない人がいる

 ロシア・東欧ならでは・・・というのが「副業なのか本職なのか」判らない人というのがいます。
勿論、普段朝から夕方までキチッと会社で働いているのですが、友達にもそういう人が沢山いまして、夜は白タクの運転手をしたりホテルのガードマンをしたりキヨスクを経営していたりと色々です。
 例えば日中、民間の会社に勤めているのですが働きぶりも確りしていて給与もソコソコもらっているのですが、夜になると自分が経営する半地下のバーを持っていて、会社の給与と以上の額を稼ぎ出すのです。会社は会社、バーはバーで経営していてあと3つ店増やすんだとか・・・商魂たくましいという訳でもなく別にこれといって生活に困っている訳でもなく・・・、また同じ会社に御夫婦で勤めていらっしゃる方も土日は市場に店をかまえてパソコンを使ってラベルを作って、ダーチャでとれた野菜等を両親がとってきて自分のブランドで漬物やお菓子を作って売っている方もいます。殆ど趣味というかどっちが本職なのか判らない人もいます。
 会社も会社でそれを許可するしないという観念がありませんから、社長さんでも富裕層なのに、日曜大工で机を作って売ったりする人さえいます。
勿論廻りに仕事上迷惑がかからない範囲の話ですけれどね(笑)

 毒舌になるかもしれませんが、日本のみならずロシアを対象として経済研究者の多くは論ずる事は理解出来るのですがまれに「はぁ?」と思う事があります。スポットとして当たっている内容でも汗して働く過程における内容が抜けている事であいまいになっている所もあり、逆に汗して働いた研究員の方はその過程を踏まえた論文やレポートがありますが、これからロシア・東欧研究の道に進まれる方も含めて確かに「不満」というものは多少なりとも出ては来ますが、ロシアの社会を知る・・・という観点データには無いロシアの労働を実体験されて本質を見るのでしたらお勧めです。


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