040526K

投稿:ぴえるばやさん


ロシアのテレビ・ラジオ放送の仕組みについて解説される事はまず無いだろうという事で勝手に調べて解説を書いてみました。
■ロシアには10の時間帯が存在する。

 ロシアは東西に10の時間帯がありますがモスクワで制作された全国ネットの番組を極東で見ようとするとなると例えばモスクワ時間(標準時)で午後10時(以降24時間表記)ですと東端のカムチャッカは9時間の時差があり翌日朝7時ですが西端の飛び地であるカリーニングラードはモスクワ標準時から1時間遅く21時という事になります。これでは見たい番組があってもカムチャッカの人は仕事や学校を休まなくてはなりません(笑)しかしこれだけ広大な時差帯を持つ国ですからソ連時代からその「地域放送時間帯」というものを設定し衛星や地上マイクロ通信回線を通じてモスクワからはモスクワ時間通り各地の放送センターへ中継され放送センターは番組素材を録画あるいは録音し各地の放送センターはその時間に合わせて録画・録音した物を放送しています。但し例外というものがありまして欧州向けデジタル衛星放送などはモスクワ時間で放送されています。

具体的に書き出して見ますと次の放送時間帯がロシアにあります。


第1地域
カムチャッカ・マガダン・サハリン

第2地域
極東地域・サハ共和国

第3地域
東シベリア

第4地域
ウラル・西シベリア

第5地域
中央・北西・南


但しこの放送時間帯は国家監理監督下にあり全国ネットをしているロシア国有放送局(公共放送)に適用されており民間放送局は適用されていませんので地方提携局まかせになっています。1канал(ОРТ)第一チャンネル РТРロシアテレビラジオ Культура文化(クリトゥーラ)と民間НТВ(エヌテーヴェ)が適用されています。但しНТВは民間であるものの株主が政府という事もあり半民間の放送局とも言えます。

ラジオ放送も同様でラジオロシアとラジオマヤークが適用され大手民間FMラジオ放送局のヨーロッパプラスは一部地域をのぞきタイムゾーン方式で全国番組を録音放送をしています。

このほか全国ネットになっていない民間放送局もあり又、地方で独立している民間放送局の他、モスクワ局とは独立した国有放送局が存在します。



■内政干渉をしている外国放送がロシアのFM/AMラジオで聴ける・・・

 ロシアには面白い状況が続いています。それはテレビとラジオに関する政府のスタンスが全く異なる点で、民間ラジオ放送のエホーマスクヴィー(モスクワのこだま)の様に政府批判を堂々と論じる番組がある中でテレビだとそれが許されないのか反政府的な立場をとるモスクワの民間テレビ局が廃止に追い込まれたり株式を政府が買い取って経営陣を交代させたり、中には政府寄りの民間投資家を通じてそのテレビ局の経営者になってもらい出すぎた釘を打つかのような状況が最近まで続きました。多くのジャーナリストはこれに反発し抗議運動まで発生しましたが何故かラジオはメディアとしての価値を低く見られてしまったのかあまり強行な姿勢を政府は示さないどころか続々とロシア国外のロシア向けロシア語放送局をFMやAMラジオ放送網へ参入許可しBBCやラジオスバボーダVOA(ボイスオブアメリカ)といったかつてモスクワ放送(現:ロシアの声)と激しいプロパガンダ合戦を繰り広げていた局に放送をさせています。ラジオスバボーダにいたってはモスクワとサンクトペテルブルグで24時間放送されておりロシア政府にとって耳が痛いはずのチェチェン問題もズバッとするどい切り口で放送を続けています。この放送局は元々アメリカのVOAとの提携関係にありプラハに本拠地を持ちつつ実は番組の大半のロシア語番組はモスクワとサンクトペテルブルグのスタジオでロシア人やグルジア人など旧ソ連諸国の人々によって制作されています。



■国際放送の実情

かつてモスクワ放送局がソ連の海外向けプロパガンダ放送の代名詞とまで言われた放送局ですが、実はソビエトロシアのモスクワ放送局以外にもソ連時代にはウクライナ共和国のラジオキエフやベラルーシのラジオミンスク等もプロパガンダ放送を行っていました。

しかし今現在はソ連崩壊となり自主的な番組作りが可能となり今や政治的なプロパガンダ放送の役割を終え、ロシアも含めて独立した各共和国・各地の話題を中心にとりあげる放送番組作りへと変化をとげました。前回ロシアの声日本語放送について触れましたので現在の解説は不要だと思いますが少し前のロシアの声という放送局に名前や運営形式が変わる前のモスクワ放送局日本語放送についてふりかえってみたいと思います。

1991年の共産党保守派のヤナーエフらのクーデター以前まで想い返すしますと今ではちょっと考えられない様な番組ですが「党とペレストロイカ」というソ連共産党の宣伝番組がありソビエト共産党中央委員会や地方共産党の役割、出来事について伝える番組があり、「ソ連の生活から」というソ連邦各民族の生活を紹介する番組があり私も子供ながら父と受信報告書と手紙でソ連旅行をしてみたいと手紙に書いてたら何月の何日に「お答えします」という番組で放送しますと手紙を頂いて興奮した事を覚えています。

 当時80年代後半だったと思いますがモスクワ放送局が日本語放送の中で一番放送時間が長く、18:30から19:00 19:00から20:00 20:00から21:00 21:00から22:00 1時間英語放送があって 23:00から24:00 と翌朝の朝7:00から7:30まであったと記憶しています。段階的に放送時間が短縮されてしまい現在では1日1時間ずつモスクワのスタジオで制作された番組のみとなっていますがロシアの声の役割は非常に大きくロシアの情報を唯一日本語の放送で得られる事はロシアに関心を寄せる方にとってなくてはならない放送番組だと思います。


ぴえるばやの露西亜よもやま話の表紙へ

ロシアンぴろしき表紙へ