2002 9.10HK

猫の輸入検疫について

〜ロシアから日本へ猫を連れてくるために〜

ナナさん投稿記事
 

私はモスクワ留学中に出会った猫・ジュリー(メス)を日本へ持って帰るために、文字通り奮闘しました。情報不足で苦労しましたが、無事に日本へ連れて帰る事ができ、日本でも引き続き猫と楽しく暮らしております。私と同じように猫を愛する方々のためにも、手順を説明したいと思います。(200112月〜20026月までの状況ですので、現在は変更している可能性もあります。)

   1) 帰国半年前に

まず狂犬病の予防接種を受けます。地区ごとに受ける場所が違うらしいのですが、頼めば地区外でもやってくれそうな気はします。私はモスクワ大に住んでいましたので、モスクワ南西・レニンスキー・プロスペクト駅近くの動物病院へ行きました。(住所:Рощинский пр.7)持ち物はパスポートとモスクワでの住所を確認できるもの(学生証やビザ、入寮証etc.)、そして猫。人間の予防接種と同じく、猫の体調が良さそうな時にしましょう。料金は240ルーブル。日本のパスポートよりちょっと大きめサイズの猫用パスポート(緑色)をもらいます。そこに猫の名前や誕生日、その日に使った狂犬病の予防接種剤のラベルを貼ってくれます。接種後、猫が風邪を引いたりしないように気をつけて下さい。

  2) 帰国3日前に

同じ動物病院に猫用パスポートを持って行きます。医師に猫を持ち帰る事を告げ、ロシア空港内検疫所で使う書類を作成してもらいます。猫は予防接種を受け、且つその猫は今も元気ですよ、という内容のもの(A4用紙一枚。ちょっと立派)。しかし、医師は猫のことを見ていないので実際は何か異常があるのかもしれないのに。しかもこの前の先生と違うから、ジュリーのことなんかまったく知らないのに。さすがロシア。作成料は110ルーブルくらい。

  3) 帰国当日

シェレメチェボ第2空港の出発階に空港内検疫所があります。チェックインカウンターを正面とすると、向かって左端にあります。トイレのすぐ近くです。そこのカウンターにて動物病院で作ってもらった書類を提出し、最終的なロシア政府機関発行の証明書を作成してもらいます。ここで作られる書類には英語も(少しだけ)入ります。日本へ動物を持ち込む場合、

@     輸出国政府機関発行の健康証明書

  (その猫が伝染性疾病にかかっていない健康な動物であること)

A     輸出国政府機関発行の狂犬病予防接種証明書

(接種年月日、予防接種の種類、有効免疫期間 等) 

が必要になります。空港で作成してもらう証明書(二つに折りたたんであるものでA4サイズ)は政府機関発行のものになります。ここでもジュリーを見てないのに、「猫は極めて健康」という事になっていました。しかも私の名前「ナナ」が「ナパ」になっていた。(涙)

4) チェックイン

事前にアエロフロートに猫を持ち込む事を伝えておき、当日は猫の体重(ケージ付き)を量ります。1kgにつき30US$の超過料金がかかります。また、8kg以上になると機内持ち込みが出来ませんので、愛猫が太らないように気をつけましょう。私の場合、自分の一年分の荷物が多くて(20kg超過!)、カウンターのお姉さんはジュリーの分を量り忘れたようです。こんなこと公表していいのかどうかはわかりませんが、カウンターのお姉さんと荷物係の男性が「アエロフロートの窓口じゃなくって、私たちに直接払ってくれるなら800$300$に負けてあげる」と言ってくれました。素晴らしいオファーでしたが、手持ちの現金は121$だけ。それを告げると彼らはロシア語で内緒話(のつもり。私にはちゃんと聞こえていた)を始め、それで承諾してくれました。すごくいい加減ですが、助かりました。

5)搭乗

  長時間のフライトなので猫のトイレが心配になりますから、席はトイレの前をもらえるとラッキーです。(ジュリーは空港から成田の検疫所まで一度もトイレをしなかった、飼い主思いの猫でしたが。)離陸前に一回鳴いてしまい、隣の席の日本人女性は猫嫌いだったようで席を移動してしまいました。アエロフロートのクルー達は大変猫好きで、最高のケアをしてくれました。ドリンクサービスにはジュリーにミルクをくれましたし(ジュリーは食べないのにスナックもくれた)、横を通るたびにジュリーを触っていくし(お絞りサービスの前なのに)、私に色々とジュリーのことを聞いてきました。(シェレメチェボ空港で一番面白かったのは、荷物検査の女性が「日本にも猫はいるの?」と聞いた事。そりゃ、いるよ)フライト途中うっかり寝てしまい、起きたらジュリーがいなくなっていました。前の方の席から叫び声が聞こえたので、ジュリーは前の方へ逃走したのでしょう。結局ジュリーは機内を走り回り、ロシア人クルーに捕獲されました。でもクルーは全然怒ってなくって、にやっと笑って「どうぞ」と言っただけでした。これが日系航空会社だったら。『ロシアの正しい楽しみ方』(旅行人)にも書いてありましたが、アエロでは「客室に動物を同伴できるのはもちろん、動物好きの乗務員に当たると、ケージから出して自由に客室内を歩かせる事もできるという複数の証言あり」との事。実はやって良かったのかも知れません。

6)日本到着

   成田空港内荷物のターンテーブルでは要注意。麻薬犬がうろうろしていて、猫が挙動不審になります。動物検疫カウンターが税関と税関の間にあるので、そこで手続き。ジュリーをそこに一旦預け、税関で動物持込の申告をして通関。その後1階到着フロアから6階の官庁事務室フロアの動物検疫所事務室(地図をもらえるのですぐ分かる)へ。そこでジュリーと再会し、説明を受けて係留機関に入ります。最短(書類完備で健康なら)14日間(到着日と開放日を含めると16日間)で最大180日間です。検疫期間中の猫の給餌、給水等の飼育管理費用は申請者(飼い主)の負担で、成田空港で申請者が試用管理会社に管理を委託することも可能。私の場合、最短の14日間に到着日を加え、@2300×1534500 + 空港内輸送費300037500円かかりました。詳細はhttp://www.aqs.co.jp 又は動物検疫所検疫第二課(TEL 0476-34-2338 / FAX 0476-34-2342)へお問い合わせ下さい。どちらも大変親切丁寧に答えてくれます。検疫所に提出する書類を帰国前にFAXすれば、書類のチェックをしてもらえますが、ロシアの場合は帰国当日に完全な書類が発行される為ぶっつけ本番(?)です。 尚、動物検疫所HP http://www.animal-quarantine-service.go.jpにもしておいてさい

*犬の場合も同様ですが、ロシアで珍しい猫だと国外に持ち出す事は禁止されています。又、動物市場でプロープスク付きで売られている犬・猫は最初の予防接種まで済まされているものですので、結局最後の手続きは飼い主自身が行わなければなりません。ご注意を!


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