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ロシア・ホームステイ手記
ラーメン中華

−第6回−

集会


 みなさんはロシアのゴキブリを見た事があるでしょうか。日本のゴキブリを見慣れてしまっている方は、ロシアのゴキブリを見ても何とも感じないかもしれません。ロシアのゴキブリは1cm程で、形は確かにあのゴキブリそのものですけれど、小さいせいか、部屋でチョロチョロ動きまわっているのを見ても脅威を感じることはありません。


 僕が住んでいるクバルチーラは、まさにゴキブリと同居しているといった感じです。ゴキブリを見ない日はほとんどなく、トイレ、洗面台、台所、僕の部屋とどこにいても彼らと顔を合わせます。
 机の引き出しを開ければ、そこには腹を上にして死んでいるゴキブリが・・・、床を見れば踏まれてペシャンコになっているゴキブリが・・・、自分の足を見れば、よじ登っているゴキブリが・・・と、ここはゴキブリに対する免疫をつけるには最適な場所です。

 しかしある日、身の毛もよだつ光景を目にしてしまいました。それはある晩、目が覚めてトイレに行こうとした時のことでした。のどが渇いていたので、何か飲もうと思い、台所に行きました。電気をつけ、何気なく流しに目をやると、その横に直径5cm程の円形の黒い物体があるのに気付きました。それは不気味にうごめいていて、まるでこれから何かに変態するかのような動きをしているのでした。何だろうと近づいて見ようとすると、その物体はくもの子を散らしたように四方に散り、壁のすき間や流しにできたすき間に潜り込み、瞬く間に2、3の小さな物体を残し、消えてしまいました。僕は腰が抜けそうになるのをこらえながら、残った物体を見ると、そう、それはゴキブリでした。やがて残ったゴキブリも身を隠し、僕はやっとものを考えられる状態になりました。
写真はケシの実です。安心して下さい。
ロシアではケシの実パンなど、用途も多いです。

「今のは一体何だったんだ。」と目の前で起きた光景を思い返しているうちに、それはあの映画『となりのトトロ』に出てきた“まっくろくろすけ”そのものだということに気付き、宮崎駿氏もこの光景を見てしまい、トラウマと共にそこからインスピレーションを受けたのではと勝手に思い、“まっくろくろすけ”は実はゴキブリの集会だったんだと、なぜか1人で納得してしまいました。

 納得したところで、用を足そうとトイレに入り、急いよくドアを閉めると、背後からポトッポトッと何かが落ちる音がするのでした・・・。
(つづく。予定)
写真:ひよこ
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