ロシア語で『カチューシャ』を歌おう!
一般向け文化講座「はこだてベリョースカクラブ」の今年度第4回目の講話内容です。
テーマ:「ロシア語で『カチューシャ』を歌おう!」
講 師:鳥飼やよい(本校准教授)
ゲスト:引地桂子さん
今回は函館市内在住のソプラノ歌手・引地桂子さんをゲストにお招きしました。はじめに、鳥飼先生が「カチューシャ」の歌詞の意味や背景について説明しました。続いて講堂へ場所を移し、引地さんのご指導により、声が出るようになる体操や発声練習を行い、ロシア語で歌うことに挑戦しました。
まずは拍子を取りながらロシア語のカタカナ表記を読み、リズムを練習しました。それができるとメロディーに乗せて歌うことは思った以上にうまくいきました。また、日本語の「カチューシャ」とロシア語の「カチューシャ」では若干拍子や音程が違う部分がありますが、今回はすべて正調ロシア式の「カチューシャ」に挑戦し、見事2番まで習得することができました。
「50年前に新宿で歌った頃を思い出す」といったような歌声喫茶世代にはとても懐かしく感じられたようです。一方この日、北海道教育大学函館校の一人の学生が見学に訪れていましたが、「カチューシャ」を口ずさむどころか聞いたこともないと答えたのは彼だけで、ほかの受講生は世代間ギャップに驚いていました。しかし最後には全員が立派に歌い上げることができ、とても楽しいひと時を過ごしました。
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ある年代以上の人は、日本人でもロシア人でも必ず歌える「カチューシャ」。1938年に作られた、若い娘が戦地の恋人を思って歌う歌です。カチューシャはエカテリーナという女性名の愛称です。ロシア民謡とよく言われますが、作詞者も作曲者もはっきりしている流行歌です。四分の二拍子のマーチしやすいリズムで、第二次大戦中、行軍の際にソビエト兵も歌っていたそうです。
カチューシャ (訳:鳥飼やよい)
1.リンゴもナシも花咲き乱れ
川面には春の霞がたれこめた
その川岸にカチューシャは立った
切り立った険しい川の堤に
2.カチューシャは歌を歌った
大平原の灰青色の鷲の歌を
愛する人の歌を
手紙をくれるあの人の歌を
3.歌よ どうか飛んで行ってくれ
太陽が沈むあの方へ
遠い国境にいる恋人のもとへ
カチューシャの声を伝えてくれ
4.そして若者にこの女の子のことを思い出させて
その歌を聞かせてくれ
そして若者にこの地を守らせたまえ
愛はカチューシャが守っているから
2番までは始めからありましたが、3番と4番は後に加えられました。
2番の“灰青色の鷲”は兵士を意味しています。3番の“太陽が進むあの方”とは西を指しています。情緒ある日本版の歌詞とは違い、戦争を盛り上げて民衆を鼓舞するような歌になっています。
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