月別過去の記事

2011年08月24日

ロシア語を話しましょう

 一般向け文化講座「はこだてベリョースカクラブ」の今年度第3回目の内容です。

テーマ:「ロシア語を話しましょう」
講 師:イリイナ・タチヤーナ(本校准教授)

 ロシア語を勉強してみたい、というベリョースカクラブ会員からの要望はかねてより多かったのですが、まったくの初心者から、かつてロシア語を勉強した経験があり、文字も読めて多少の文法がわかる方まで、会員の間にばらつきがあるため、なかなか全員の希望をかなえることはむずかしくもありました。
 そこで今回は、1年生に実用ロシア語を教えているタチヤーナ先生が、ロシア語の授業のやり方を体験してもらおうと、普段の授業とまったく同じ方法で、ロシア語のレッスンを行いました。

 最近は、教科書で文法を学ぶのはもちろんのこと、ロシアで作られたDVD教材などを使って、クイズ形式にロシア語を覚えたり、映画を見ながらロシア語の言い回しや風習・背景などを広く勉強する授業スタイルが多くなってきています。
 まずは会員同士、テキストを見ながら、あいさつや自己紹介の会話を練習。その後で、DVD教材の質問に、リモコンを操作しながら答えていく体験などをしてみました。

 映画を見たいという要望も多いのですが、時間内に1本を観ることはできないので、アニメ「チェブラーシカ」の旧作を1話観ました。チェブラーシカは大人が見ても、その愛くるしい表情としゃべり方についつい引き込まれてしまいます。タチヤーナ先生がところどころ解説してくれたので、日本語字幕がなくても楽しめました。

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2011年08月17日

過去の名作人形劇がYouTubeで見られます

 はこだてロシアまつりで上演し、好評を博したオリジナル人形劇をYouTubeにアップしました。「ロシア民話」で検索すると、出てきます。
 人形劇は過去5作上演していますが、すべてデルカーチ・フョードル副校長の指導により、学生たちが製作・出演しています。
 現在見られるのは下記3作ですが、残りもアップする予定です。一度見た方も、初めて見る方も、是非ご覧ください。

2005年 永遠の炎

2007年 ナナカマド・ネックレス

2010年 琴弾きサドコー


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2011年08月13日

8月の「身近なロシア」は?

 「身近なロシア~ベリョースカクラブ・ラジオ版」、8月17日(水)の放送は、石川県能美市職員で、函館校でロシア語研修中の島元延栄さんと、デルカーチ・フョードル副校長が出演します。
 島元さんは教育委員会の職員として、能美市と姉妹都市のロシア・シェレホフ市との交流事業を進めるため、ロシア語を学びに函館にやってきました。4月から7月までの約3ヵ月間、ロシア語漬けの毎日を送り、7月末からは一度能美市に戻るとともに、中学生派遣団を連れて、はじめてのロシア訪問をしてきました。
ふたたび函館に戻り、研修最後の仕上げに入った島元さんに、実際に習ったロシア語をどのように役立てたのか、ロシアの街・人の印象について伺ってみましょう。
 また、デルカーチ先生はイルクーツクの出身ですが、シェレホフはイルクーツクからとても近く、先生もこのような交流団の仕事を手伝って、シェレホフを訪れたことがあるそうです。どうぞお楽しみに。

FMいるか「暮らしつづれおり」内
「身近なロシア~ベリョースカクラブ・ラジオ版」
平成23年8月17日(水) 10:15~10:30
出 演:能美市職員 島元延栄 
     ロシア極東連邦総合大学函館校
      副校長 デルカーチ・フョードル
テーマ:はじめてのロシア・はじめてのシェレホフ

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2011年08月09日

外国人にとって、日本語のどこが難しいか?

 一般向け文化講座「はこだてベリョースカクラブ」の今年度第2回目の講話内容です。

テーマ:「外国人にとって、日本語のどこが難しいか?」
講 師:アニケーエフ・セルゲイ(本校教授)

 これは、外国人のグループに日本語を教えていた日本人の先生の思い出話で、初級クラスの後半に、日本の着物について説明した文章があります。「あわせ」の説明に続いて、次の一文があります。

「わた入れには おもてと うらの間に わたが はいっています。」

 これを読んだ、博士号を持つほどのロシアの婦人が、突然こう言い出しました。
「“わた入れ”という着物と、“表虎ノ門”の関係がよくわかりません。」

 私はこう言われたとき、一瞬耳を疑いました。しかし、こういう突飛な質問にも、必ず連想の糸があるものです。それをたどっていくと、いかにも彼女らしい、無理のない、いくつかの原因がみえてきました。
 まず彼女の頭に浮かんだのは、地下鉄の二つの駅、彼女がよく乗る銀座線の「表参道」と「虎ノ門」だったのです。彼女一流の頭の回転で、「おもて参道」があるからには「おもて虎ノ門」もあるはずだととっさに考えてしまったのです。「オモテ・トーラノモン。こうなると「間」という字まで「門」に見えてきます。そこで、おかしい、「わた入れ」と町の名前がどういう関係があるのかしら……と、そちらのほうに考えがそれていったという次第です。

 ここにはもう一つ、音声の問題が絡んでいます。「虎」は「トラ」であって、「トーラ」ではありません。日本人は音の長さを聞き分ける耳を持ち、短音と長音をはっきり区別しますが、これが外国人には大変むずかしいのです。彼女の母国語ロシア語では、音の長短は意味を区別する決め手にはなりません。意味を強めるときには、音も長く伸ばすのが普通です。だから、トラノモンがトーラノモンになっても一向にかまわないわけです。

 すでに自分の得た知識のほうへと引き寄せて、言葉の意味を判断しようとする点では、日本人も外国人とまったく同じことをしているわけです。ただ、その知識の質と量とが、ケタ外れに違うのです。
 音声と文字の知識とは、このように複雑に絡み合いながら、文章の意味の決定に加わってきます。言語能力というものは、まさに人間のあらゆる知識の上に築かれるのです。基本文型をマスターし、試験で満点を取ったとしても、生活体験に欠けていたり、思想的に未熟であったりすると、その人の理解力と表現力とは、ある線以上には伸びません。
 そういう意味では、外国語を真に深く理解できる人は、まず自国語において十分な体験と成熟した思想性とを身につけた人であるといえます。しかし同時に、先入観という障壁をも形成します。しかもその外国語による現地での生活体験の欠如という、決定的な障壁と裏腹の関係にあります。

 文字、特に漢字の難しさは、しばしば指摘されるところです。たしかに漢字を用いない地域の人びとにとって、これは大きな障壁に違いありません。しかし、ヨーロッパ人もある程度漢字がわかり始めると、むしろ漢字があるほうが意味が取りやすくなるようです。ひらがなではなくて、漢字で書いてあれば意味が取れたのに、と思う人も少なくありません。「わた入れ」の場合なども、「表と裏の間に」と書いてあれば、「表虎ノ門に」と読み違えたりしなかったことでしょう。

 文字についての一番根本的な障壁は、やはり「かな」の問題―つまり「音声」と「表記」の関連だと思います。このことは、従来ややもすると軽く見られてきた傾向があります。日本語は子音も母音も他の言語ほど複雑ではない―だから、「かな」文字などはちょっと習えばすぐわかる、と思われてきたのです。たしかに個々の音についていえば、そのとおりだと思います。しかし、音声は組み合わされて初めて意味を持ちます。その相対的な関係をどう把握するかということは、発音のしやすさとはまた別の問題なのです。

*このほか、日本語の「拍(モーラ)」について、例を挙げながら日本人と外国人の感じ方の違いについて比較しました。

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