聖ニコライがロシア正教の宣教師として来日してから150年。函館ハリストス正教会や、ニコライ堂を拠点に活動したその生涯は、宣教活動のみならず、優れた日本学者としても日ロ交流史に大きな影響を与えました。
そんなニコライの生涯と、文豪・ドストエフスキーとの接点を探る講演会が下記のとおり開催され、本校の鳥飼やよい准教授がコーディネーターを務めます。ニコライの人物像や生きた時代について、宗教とは違った角度から考察します。
同時に、「ロシア文化フェスティバル2011 IN JAPAN 函館オープニング」開催記念「聖ニコライ写真パネル展(主催:函館市・在札幌ロシア連邦総領事館)」が会場前の展示ホールで7月10日(日)まで開催されます。サプリン総領事が函館や東京で複写し、説明を付けた写真資料約30点も合わせて展示します。
パネリスト:「ニコライと日本の出会い 日ロ交流史からの視点」
駐札幌ロシア連邦総領事 サプリン・ワシーリー
「『罪と罰』にみる再生の希望―ドストエフスキー文学の主題」
北海道新聞函館報道部次長 藤 盛 一 朗
コーディネーター:
ロシア極東連邦総合大学函館校 准教授 鳥 飼 やよい
日 時:平成23年6月23日(木) 18:00~20:00
会 場:函館市中央図書館 視聴覚ホール
函館市五稜郭町26-1
参加料:無料
主 催:「ニコライ来函とその時代」実行委員会
問合せ:080-1971-8901
第14回はこだてロシアまつりまで、あと1ヵ月となりました。
まつりのポスターは例年、デルカーチ先生が作成していますが、今年はロシア語科1年 赤羽真依子さんが素晴らしいデザインを作ってくれました!
ロシアらしいモチーフと美しい色合いで、プロ並みの出来ばえです。これから文字が入り、街角に張り出されるのが今から楽しみですね。
「身近なロシア~ベリョースカクラブ・ラジオ版」、6月15日(水)の放送は、函館市企画部国際課主査 倉田有佳さん(本校非常勤講師)の登場です。
いよいよ来月に迫った「ロシア文化フェスティバルIN JAPANオープニング」の函館開催に向けて、市民のロシアへの関心も高まりつつあります。
ロシアと日本の歴史は函館から始まったものであり、今もハリストス正教会や旧ロシア領事館、ロシア人墓地を大切に守る街・函館を、ロシアの人々は特別な街ととらえています。
そこで今回は「『ロシア』を発信し続ける街-函館」と題し、長い交流の歴史や現在の状況、さらに多数イベントが企画されているロシア文化フェスティバルについて、お話していただきましょう。
FMいるか「暮らしつづれおり」内
「身近なロシア~ベリョースカクラブ・ラジオ版」
平成23年6月15日(水) 10:15~10:30
出 演:函館市企画部国際課主査
ロシア極東連邦総合大学函館校非常勤講師 倉田 有佳
テーマ:「ロシア」を発信し続ける街-函館
一般向け文化講座「はこだてベリョースカクラブ」の今年度第1回目の講話内容です。
テーマ:「ターボ・レアリズムとヴィクトル・ペレーヴィン」
講 師:デルカーチ・フョードル(本校副校長)
“ターボ・レアリズム”という言葉は、みなさんにはなじみがないと思います。90年代、ペレストロイカ以後にロシアで起こった新しい文学の流れですが、国内でもあまり知られていない言葉で、むしろ日本で使われている言葉です。
“ターボ・レアリズム”は知らなくても、「巨匠とマルガリータ」の作家、ミハイル・ブルガーコフやゴーゴリについては、ある程度の理解はあると思います。
SFは戦前から人気がありましたが、SFのためのSFはおもしろくありません。我々の世界について、語られていないものは文学ではない。この世の中の話が裏側に含まれているものです。しかし解釈は研究者によって違います。
アレクサンドル・ベリャーエフやストルガツキー兄弟は宇宙というテーマの裏側に、人間性や我々の内心の世界をわかりやすく見せました。
ペレーヴィンは変った人間で、いつも黒いサングラスを外しませんでした。
90年代、ソ連崩壊とともに、ソビエト・イデオロギーが放棄され、宗教への関心が高まると、雑誌「科学と宗教」が人気となりました。この雑誌は宗教のインチキをばらす月刊誌ですが、ペレーヴィンは東洋文化部を担当し、禅・ヒンドゥー教や密教、インドの教えとカール・マルクスなどをグロテスクな形で表現しました。それは無を表現し、不思議な感覚を与えました。
その後、作家になりますが、日本語にも翻訳されている「昆虫生活」では、人間を虫に例えて全く違うものに見せました。
「ジェネレーションP(=ペプシ・コーラの世代)」という小説は、広告会社のコピーライターであるタタールスキーが主人公で、90年代に映画化もされました。改革の時代を象徴したもので、キャッチフレーズは「新しい時代はペプシを選ぶ」でした。私が子どもの頃、ソ連ではコーラと言えば、コカ・コーラではなく、ペプシでした。モスクワに行った人のお土産にペプシをもらって、とても喜ぶという時代でした。
映画の中でさまざまな広告のコピーが登場しますが、それはソ連と言う時代を経験した人にしか理解できないものが多く、外国人に説明するのはとても難しいのですが、一つ紹介しましょう。
パーラメントというタバコがありますが、そもそもパーラメントの意味は“議会”です。タタールスキーがこのタバコのコマーシャルを作るにあたり、93年モスクワ騒乱の際に戦車が並び、クーデターの象徴となった議会の建物を巨大なパーラメントの箱に変えて、「我々は祖国の煙を楽しむ―パーラメント」というキャッチコピーを考えました。これはロシアでは誰でも知っている有名なフレーズになりました。
「恐怖の兜」はギリシャ神話をモチーフに書かれたプロジェクトで、インターネット・フォーラムを迷路になぞらえた作品で、映画化するのは不可能だと思います。
ペレーヴィンの作品は、結末は予想できますが、その中には哲学が含まれています。日本語訳されている作品もありますので、実際に読んでみてはいかがでしょうか。
ロシア極東大学函館校では様々なイベントを通して、函館校に、そしてロシアに親しんでいただきたいと思っております。
オープンキャンパスではロシア人教員と現役学生による模擬授業をはじめ、学校生活の紹介や、社会人として活躍する卒業生による仕事紹介などもあり、きっと参考になるはずです。
今年度は回数を増やし、3回開催します。疑問に思うところを教職員に直接聞くこともできますので、この機会に、函館・元町にあるキャンパスを気軽に訪れてみませんか?
また、オープンキャンパスよりもっと気軽にロシアを楽しめる機会、ロシアまつりにも是非ご来場ください。ロシア料理レストランや民族衣装試着体験、ステージプログラムなど、楽しい催しがたくさんあります。
いずれも詳しくは函館校ホームページでご確認ください。
オープンキャンパス
第1回 2011年6月25日(土) 13:00~15:00
第2回 2011年8月 6日(土) 13:00~15:00
第3回 2011年9月25日(日) 10:00~12:00
2011はこだてロシアまつり
2011年7月16日(土) 11:00~16:00