2010年を振りかえって
慌ただしく過ぎた2010年も終わろうとしています。今年も「極東の窓」をご愛読いただき、ありがとうございました。また、お忙しい中、原稿を寄せてくださった皆様方にも感謝したいと思います。
今年2月、函館校のマースレニッツァに合わせる形で開催された、「日本・ウラジオストク協会懇談サロンin函館」にご参加の協会理事、小林千香子さんの「ワクワク函館への旅」を函館日ロ交流史研究会の会報で拝見したとき、小林さんが本当にワクワクと、心から函館での数日を楽しまれた様子がうかがえて、とても嬉しくなりました。早速「極東の窓」への転載をお願いしたという次第です。ずっと同じような環境に身を置いていると忘れがちですが、ロシアが好きな人々にとっては、函館という土地もこの学校も特別な空間です。日本中探しても、こんなところはほかにないでしょう。小林さんの文章は、少しほめすぎで面映いところもありますが、そのことをあらためて感じさせてくれます。
私にとっての、今年一番大きな出来事はロシア軍艦「アドミラル・パンテレーエフ」の入港でした。詳しくは先日別に書きましたが、話を聞いてから受け入れまでの時間が少なく、前例もなかったため、入港前夜には日ロの関係者約20名ほどが極東大学に集結し、さまざまな問題について協議しました。実のところ船が入るまでは何がどうなのか、よくわからなかったのですが、受け入れに関わったすべての方々の多大なる協力により、大きな問題もなく、友好的に送り出すことができました。訳がわからないけど、やってみれば何とかなる、良くも悪くも非常にロシア的な、おもしろい体験でした。
ところで昨年10月、ウラジオストク本学創立110周年記念式典に出席するため出張したときに私が見聞きしたことを、「ウラジオストク訪問記」として掲載しました。そして今年7月、今度はウラジオストク市が開基150年を迎え、姉妹都市である函館市公式訪問団の一員として訪問した倉田有佳さんに「今年開基150年を迎えたウラジオストクと函館のつながり」と題し、3回に渡り執筆していただきました。倉田さんは日ロ交流史における第一級の研究者でありますから、私たちにもわかりやすくウラジオストクと函館の関わりを教えてくれました。また、2012年のAPEC首脳会議開催を控え、どんどん変わりゆくウラジオストクの様子も聞くことができましたが、私が訪問した時からまだ1年も経っていないのに、街の様子はだいぶ異なり、驚くほど道路整備や橋の工事も進んでいるようです。時代とともに街並みは変わっていきますが、倉田さんの言うとおり、ウラジオストクの150年におよぶ歴史の光と影、さらには函館との古くからの接点にも目を向けてこそ、初めてこの街の底力や真の魅力を実感することになるのでしょう。
話は変わりますが、昨年の本学創立110周年記念式典の際発表された、極東国立総合大学の極東連邦総合大学への昇格が、いよいよ現実のものとなりました。何しろ市内の4つの大学を統合してワンランク上の大学に昇格させるという大がかりなことなので、きちんとした体制が整うまでにはまだ時間がかかりそうですが、本学はすでに新しい名称と組織になりました。それを受けて、分校である函館校も2011年1月1日付けで、「ロシア極東連邦総合大学函館校」へと名称変更いたします。函館校については名称以外、組織などの変更はありませんが、新しい名前になじむまで、少し時間がかかりそうです。
さて、来るべき年、7月にはハリストス正教会の聖ニコライ来日150周年記念行事が函館で開催されます。教会行事のほか、一般市民向けの講演会や展示なども計画されています。また、「ロシア文化フェスティバルin JAPAN」のオープニング・セレモニーが、日ロ両国政府関係者を招いて函館での開催を予定しています。それに附随して、さまざまな文化的行事が計画されているようですので、こちらも楽しみです。
来年もまた、新しくなる校名と、変わらぬ私たちを、引き続きよろしくお願いいたします。
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