ロシア人が好きな日本のお菓子とは?
そう問われたら、私は間髪入れずこう答える。間違いなく答える。
それは「六花亭のマルセイバターサンド」。説明するまでもない、北海道みやげの定番である。六花亭は道東・帯広市に本社があるお菓子屋さんであり、以前は札幌のデパートまで行かなくては買えなかった。この頃は六花亭のお店が函館市内にも出来、購入しやすくなったとは言え、自分ではなかなか買わないものだ。
私も子供の頃、初めて口にしたときには文字通りバタくさい味がそれはそれは衝撃的で、世の中にこんなにおいしいお菓子があるのか!と大げさでなくそう思ったが、それにしてもうちのロシア人たちの喜びようは尋常ではない。
函館校の教職員室には小さなお茶コーナーがあり、休み時間にはみんな自由にお茶を楽しむ。頂き物のお菓子があるとそこに置いておき、好きなときに好きなようにつまむ。
大概のお菓子はそれで済む。だがバターサンドの時だけは違う。先日もいつものようにテーブルの上に箱を載せておいた。すると最初に見つけた先生が「おお!誰からですか?」と声を上げる。そしてその様子を見て別な先生が「はー、あるなんて知らなかった!」と言い、その場所に集まると、次々とバターサンドを手にお茶を入れ始める。挙句、これを差し入れた人に向かい、(そこに姿があろうとなかろうと)「ああ、俺たちのことをわかっていてくれてありがとう!」と感謝する。何年経っても、何度頂いてもこうだ。まるでバターサンド祭りである。
年齢・性別にも関係がないらしい。うちの先生に限らず、誰にあげても喜ばれる。たしかにおいしいが、それにしてもこの喜びよう。あるとき、「なぜそんなにバターサンドが好きなんですか?」と聞いてみた。返ってきた答えは「乳製品の嫌いなロシア人はいない」という至ってシンプルなものであった。ストレート過ぎる答えだ。
ともかく、ロシアからお客さんが来た時、あるいはロシアへ行く時のおみやげは、マルセイバターサンドにすれば間違いなく先方は喜んでくれるだろう。函館校への差し入れも。そしてまだまだ、函館校のバターサンド狂騒は続く。
ロシア極東国立総合大学函館校 事務局 大 渡 涼 子
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