FMいるか 多言語みんたる 3
FMいるかで放送された ONE WORLD WAVE「多言語みんたる」の内容をご紹介する第3回目です。
ゲスト:ロシア極東国立総合大学函館校
教頭 アニケーエフ・セルゲイ(以下アニ)
聞き手:財団法人 北海道国際交流センター
事務局長 池田 誠(以下池田)
<12月16日放送 第3回 ウラジオストクとシベリア鉄道>
池田:こんにちは!
アニ:Добрый день(ド-ブルイ ヂェーニ)!
池田:今日はアニケーエフ先生の出身地、ウラジオストクについて伺います。函館の方もずいぶん行ったことがあるのではないかと思いますが(函館市とウラジオストク市は姉妹都市)、函館よりウラジオストクのほうが北になりますかね?
アニ:場所的にはウラジオは札幌と同じ緯度ですね。だからウラジオがちょっと北にあります。でもウラジオへ行く場合、我が校の教員たちはみんな新潟経由です。新潟が一番短く感じられる。新潟まで行って、そして飛行機で1時間20分でウラジオストクへ到着。
池田:近いですよねー。
アニ:近いです。東京へ行くのと同じ時間じゃないですか?
池田:新潟へ行くまでが遠い気がしますけど。
アニ:列車で9時間。昔、夏は函館から飛行機が飛んでいましたが、今はもうないです。だから不便です。ウラジオへは富山からでも、大阪からでも、東京からでも飛んでいます。
池田:そうなると、東京から行ったほうが近いかもしれない。
アニ:うーん、なぜか新潟に親しみがあります。
池田:なるほど。気候的には函館より寒いでしょうか?
アニ:だいたい函館と同じだと思いますが、違う点はウラジオストクは大陸だから冬が寒いです。寒いというだけでなく、風が強くて雪があまり降らない。降ったとしてもすぐ飛ばされてしまいます。だから街の中の風景はほとんどグレーなんです。ホワイトクリスマスという言い方がありますが、ウラジオストクの街中は残念ながらホワイトではないです。グレークリスマスになります。郊外へ行けばスキーもスケートも出来ます。だから雪は郊外からダンプカーで運んできます。それは札幌の雪まつりと同じです。
池田:なるほど。観光で行く場合にここはお勧めですよというところはありますか?
アニ:日本人にとって、一番近いヨーロッパと言えばウラジオストクじゃないですか?アジアの中にあるヨーロッパ風の街なんです。街の景色は函館に似ていますけれども、山ではなく、丘があります。湾から見てみたら函館そのものです。きれいです。
池田:でも函館よりももっとヨーロッパ風な感じなんですよね?
アニ:建築物などはヨーロッパ風です。街の中心の古い建物は19世紀終わり頃のもの、そのままです。見どころは、私は生まれたところだから当たり前で何もおもしろいところはないと思いますが、初めてきた人は驚くところもあります。ああ、きれいだなって。時間と希望があれば必ずウラジオストクに行ってください。今は私は函館に住んでいるので、ここはきれいだなって思います。住めば都です。
池田:やっぱり僕らが行くと、新鮮に見れるものはきっといっぱいありますよね?
アニ:自然がきれいです。トラもいますよ。
池田:トラ!
アニ:街まで入ったことがあります。子どもの頃、ウラジオでも報道されたんです。トラが街にいるって。
池田:何トラですか?
アニ:アムールトラです。
池田:よく北海道では、ヒグマが家の前まで来ました、とかニュースになっていますけど…。
アニ:ウラジオストクではトラなんです。
池田:トラも怖いですよね?
アニ:怖いです。熊もいますけど、熊は近づかないんです。トラはなぜか、人間が好きじゃないかと思います。
池田:熊は食べ物がそれなりに豊富にあるということじゃないですかね?
アニ:そうでしょう。トラは肉です。野獣の肉を食べます。だからイノシシの数が少なくなったときは、郊外に住んでいる農民の飼っている家畜を狙うんです。
池田:野生のトラがたくさんいるということですよね。
アニ:数が増えているという話を聞きました。
池田:ところでウラジオには函館校の本学があるんですよね?こちらのほうはどのくらいの大きさ、学生は何名くらいいるんですか?
アニ:学生は3万6千人以上。
池田:すごいですよね?総合大学ですから大きいですよね。
アニ:非常に大きいです。先生の数は5千人です。
池田:おお、すごいですね。そこに行ってみるのもおもしろいですね。
アニ:はい。ウラジオで一番大きな大学です。歴史もあります。
池田:そこで学食に入って食べてみるなんていうのもおもしろそうですよね。
ロシアはとにかく広いんですけれども、ウラジオというと、シベリア鉄道の出発駅ですよね。ここからモスクワまで鉄道がずっとつながっているわけですよね。
アニ:列車に乗って、ずっとモスクワまで行きますよ。
池田:どのくらいかかるんですか?
アニ:それは信じがたいと思いますが、7日間です。
池田:ええっ!? 7日間!!
アニ:同じ列車に乗って、朝は窓から昇る日を見ながら、夜は沈む日を見ながら、単調でたまらない景色なんですけど。
池田:それは日本でいう普通列車なのか、あるいは特急列車なのか…。
アニ:特急です。早いほうです。
池田:特急ですか!ちなみに乗ったことはありますか?
アニ:あります。子どもの頃、7日間。
池田:食事はどうするんですか?
アニ:レストランです。あるいは停車場で停まったとき、おばさんたちが何か売っています。外へ出て、市場みたいに好きなものを買って食べます。
池田:停車時間が長い駅があるんですね。
アニ:15分から20分くらい。
池田:それにしても7日間は長いですよね。
アニ:長いです。乗り合ってる人同士、ほとんどもう親戚になるくらいです。
池田:それでまた7日かけて帰ってくるといったら…。
アニ:2週間くらいの休みが必要です。日本人にとっては、そんなに休暇が取れないでしょう。
池田:2週間だと行って帰ってくるだけですよね。やっぱり広いということがわかりますね。
アニ:だからロシア人の心も広いとよく言われます。それは自然と密接につながりがあります。
池田:たしかにそれはあるでしょうね。狭いところにいると広く考えられなかったり。
アニ:ロシア人から見れば日本人の性格は「気が短い」。結構怒るのも早いじゃないですか。ロシア人が怒るまでは時間がかかります。でもカンカンに怒ったときはもう、むき出しに、目的に向かうしかないです。
池田:だんだん怒りが溜まっていく。
アニ:そうそう。だからロシア人の性格はよく「熊」と言われます。熊みたいにのろい、のろいけれども、怒ったときは恐ろしい。熊もそうですね。
池田:日本にはよくキレる子どもがいますけれども、ロシアにはいないんですね?どちらかというと辛抱強い。
アニ:私が日本語でなぜかロシア人にぴったりだと思うのは、「一に辛抱二に我慢、三四がなくて、五が忍耐」、これがロシア人の性格なんです。
池田:いやー、毎回話を聞いてるんですけれども、本当にロシアに対する認識が変わってきますねー。それではまた来週。
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