2005年09月02日
●知られざるロシア (3)
ロシアの有名な超能力者について書いてみる。
メッシング Вольф Мессинг (1899～1974)
ポーランド生まれのユダヤ人、超能力者экстрасенс、催眠術者、千里眼。迫害を逃れて1939年ソ連に亡命した。戦後は演芸の舞台でも超能力ショーを行なった。晩年までロシア語が完璧ではなかったため、いくつか面白いエピソードがある。1970年代からソ連で超能力者がブームとなりだした。その先駆者と言える。80年代メッシングを真似たいわゆる超能力者としては、全国にテレビでイボ、潰瘍、アルコール中毒などの治療のため集団催眠をしたカシュピローフスキーКашпировский А. М.（1939年ウクライナ生れ、心理療法士、93年～95年国会議員）が有名である。一時はソ連で大ブームであった。これはどうもプラシーボ（偽薬）効果を利用したものらしい。現在はポーランド在という。
Однажды, когда какая-то дама на выступлении отказалась дать ему для опыта свою вещь, Мессинг возмутился: «Почему не даете? Мне женщины всегда давали!» И не мог понять, почему зал взорвался хохотом. А когда ему говорили: «Здорово работаете!» - с достоинством отвечал: «Да, я здоров, не болею!»
訳）あるとき、ある御婦人が舞台で超能力実験のため自分の品物を提供するのを断った。メッシングは怒ってこう言った。
「どうしてあげないのですか？ご婦人方はいつも私には、あなたに上げるって言ってくれてるのに」彼にはどうして会場が爆笑するのか理解できなかった。彼に、「いい仕事をなさってますね」と声がかけられたときに、昂然と「ええ、私元気ですし、病気もしませんからね」と彼は答えた。
解説）ロシア語の与えると言う動詞には「女性が体を与える」という意味がある。女優で後に舞台監督になったイリーナ・ウーリフは1923年頃モスクワでメッシングにデートに誘われたが、猫背でやせていて、催眠術師だということもあり、気味悪がってすっぽかしたといっている。
Дорогие Анатолий Михайлович! Долгие девять лет мы с женой не имели детей. Стоило ей только посмотреть ваш сеанс, как тут же забеременила. Не знаю даже, кого благодарить – себя или вас...
訳）拝啓カシュピローフスキー様、この9年という長い歳月私達夫婦には子供ができませんでした。あなたの番組を妻が見たとたん、妊娠しました。だれに感謝すればいいのか分かりません。自分にでしょうか、それともあなたに？