2005年06月08日
●ロシア悪人列伝(第4回)
- ソーニカ・ザラターヤ・ルーチカ Сонька Золотая Ручка(黄金の腕を持つソーニカ、1847年生まれ)
19世紀末ヨーロッパ、ロシアをまたにかけた稀代の悪女。列車やホテル荒しが専門で必要とあれば、相手に眠り薬を使った(現在のロシアならクロフェリンклоферинを使うというところか)。ソーフィャ・ブリュフシュテインСофья Блювштейн (Шейндля-Сура Лейбова Соломониак) が本名のユダヤ人。娘の話ではそれほど美人ではなかったというが、愛嬌があり、男を垂らしこむ手口は一流であった。写真では着ている服の関係もあるのかゴージャスな魅力的な女性に見える。当局のスパイも勤め、気に入らない犯罪者を密告したりした。また子供好きで、貧乏人に施し物をするなど義賊的な面もあった。捕まって何度も脱走したが、結局サハリン送りとなり、ドロシェーヴィチДорошевичも現地で彼女に取材した記事を「流刑Каторга」に載せているし、チェーホフも「サハリン島」で鎖につながれたソーニカを描いている。その後脱走したが、力尽きて死んだと言う。異説ではオデッサで78歳まで生きたともいう。オデッサに1840年頃から1914年まで盗芸学校 Школа воровского искусства が存在したが、これに彼女は金を出していたと言う。優秀な生徒にはロンドンに留学させ技にさらに磨きをかけさせた。彼女の他にあと4名ザラターヤ・ルーチカ Золотая Ручкаの名を冠せられた悪女がいる。二人はペテルブルグで活躍した。一人はアンナ・ジリベルシュテインАнна Зильберштейнと言いスリで、別名魔女のアニュータАнюта-Ведьмаとも呼ばれた。1880年頃から活躍、1902年に逮捕。もう一人はオーリガ・フォン・シュテインОльга фон Штейн(1869年生)は20件の詐欺で1907年捕まるが、米国に逃亡。後にロシアに引き渡されるが、懲りずに1924年逮捕、ロシア最初の自動車泥棒とされる。オデッサでは二人おり、1912~13年に泥棒の女王と言われた22歳のオーリガ・ヂヤチェンコОльга Дьяченкоが有名である。この他にエリェーナ・ボウルスЕлена Боурсというスリが同じ仇名で1922年ペレールマンПелерманのダイヤを飲みこんで盗もうとしたが捕まり、浣腸されてダイヤも無事に戻ったと言う。
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